自転車とわたし その1

自転車通勤を初めて1年が経とうとしている。最初はクロスバイクで始めた自転車通勤が今やロードバイクへと変わっていった。習慣とは恐ろしいもので、「今日は自転車に乗って出勤しようか」という逡巡が消えてしまった。つまり自転車は生活にすっかり溶け込んで、今の私の暮らしに欠くことのできない存在となっている。

わたしが自転車に乗り始めたきっかけはなんだったか。昨年のお正月に妻の実家へ自転車で行ったことに始まる。なぜ自転車で行ったのか。その日はえらく天気がいい日だったから、としか言いようがない。そして心底驚いたのだ、こんなに世界は広くて気持ち良いものだったのか、と。それまでのわたしの生活は、ひたすら職場と自宅の往復で、ある意味で私の世界は閉じきっていたのだ。

そこからは前述したようにクロスバイクがロードバイクへとなり、通勤のみならず休みの日も乗るようになった。運行スピードはあがり、走る距離も伸びた。今や、単なる交通手段を超えた存在になった。本当にあっという間だった。人生何がどんな方向に転がるかわからないな、と思う。でもどうやらこの熱はそう簡単には冷めそうにないな、ということはうっすら感じる。

その結果、わたしの生活は大きく変わった。(この私の変化を、妻はどのように私を眺めているのだろう。いつか聞いてみたい。)

まず食生活。いっそう食生活に気を使うようになり、外食はほぼ皆無となった。また軽い糖質制限を行うようになった。このチャレンジは個人的には2つの大きなインパクトがあった。ひとつは昼食後の眠気がなくなったこと。もうひとつは朝の目覚めが非常にすっきりするようになったことだ。

次に運動習慣。雨の日は自転車通勤をしていない。が、3本ローラーという家の中で自転車に乗れる環境が整い、天気に左右されなくなった。今は毎日乗っている。スマートスケール、パワーメーター、心拍計などを用いて数値で様々な指標を管理している。これらはまだ試行錯誤中だ。一年を通して様々なトライをしてふるいにかかり残ったものに過ぎない。これからまた色々と試して変わっていくだろう。

食生活、運動習慣以上に恩恵を受けているのは精神的な部分かもしれない。外で自転車に乗るととにかく気持ちがよく、心が晴れ晴れとするから不思議だ。風に包まれながら、心が洗われるような気分になる。遠くに行けることも大きい。どうしても移動手段が公共の交通機関に頼るしかない自分にとって、自分の意志と脚で遠くまで行けることはとても新鮮だった。

知らない街を、知らない道を、通り過ぎるだけで楽しくなってしまう。まるで旅のようだ。また自転車に乗っていると、サドルの上で一人きりのため、いろんなことを考える。また体の動きについて意識的になる。それを一巡すると無になれる。何も考えない時間という最大の贅沢が訪れる。そしてその瞬間は、その場所はとても静かなんだ。

アパートの前に辿り着く。そして最後に残るのが、激しい心臓の鼓動、全身に広がる心地よい疲労感、そして震える足。

カテゴリー: 2018