STREET PHOTOGRAPHY NOWが教えてくれたこと

STREET PHOTOGRAPHY NOW

著 者 :Stephen Mclaren
タイトル:STREET PHOTOGRAPHY NOW
出版社 :Thames & Hudson
出版日 :2012/1/2

STREET PHOTOGRAPHY NOW 03

きっかけ

「STREET PHOTOGRAPHY NOW」はタイトルの通り、ストリート写真が収められている。自らもストリートフォトグラファーであるStephen Mclaren編集により、世界中のストリート写真家の作品の「今」を納めたものだ。

この写真集は私がロンドンに住んでいた頃に手に入れた写真集であり、わたしが初めて買った写真集であり、私の写真観に、もっとも大きな影響を与えた写真集でもある。

でも具体的にどこで、どうやって手に入れたか、がどうしても思い出せない。きっとその理由は、この写真集からわたしが受け取ったメッセージがあまりにも衝撃的だったからだと勝手に思っている。 (日本に帰国する際、大事に抱えながら、帰ってきたことはし唯一しっかりと覚えている。)

STREET PHOTOGRAPHY NOW 01

そもそもわたしはSTREET PHOTOGRAPHYが好きだ。理由は家から出てすぐの世界を取り扱っているから。わたしたちが暮らす生活の延長線上に位置するものを題材として取り扱っているので、有名なアイコンを取り扱うことも、壮大な景色といった場所としての特殊性はない。(あなたが、金閣寺のそばにすんでいたり、グランドキャニオンに住んでいるのであれば話は別だ!) 言うなれば「日常を切り取ったドキュメント」。そうした「普通の場所」とでもいうべき、いつもの景色から奇跡とも言える瞬間を鮮やかに取り出し、私たちに提示してくれるのがSTREET PHOTOGRAPHYの醍醐味だと思っているし、そんな身近さが好きな点だ。

つまりストリート写真は私たちの暮らしにはユーモアや美しさや奇跡のような瞬間に溢れている、ということを教えてくれるのだ。これは人が生きて行くに当たって、希望に他ならない。私にとってのカメラ・写真の価値はそこにある。

正直、この写真集の内容はピンキリだ。だが間口の広さと振り幅の大きさもまた魅力なのだ。いろんな意味での荒々しさを含めて、私はストリート写真が好きだ。逆にブレッソンの写真は私にとってあまりに完璧すぎて「作品」の匂いを嗅ぎ取る。私はもう少し崩れたもの、何がが欠けているものといった不完全なものに、魅力を感じてしまうのだ。

人の営為を扱う点もSTREET PHOTOGRAPHYの魅力だと個人的には思っている。どこか人間を肯定する力が潜んでいる気配を感じ取ってしまうのだ。編集の妙なのか、私の楽観的なモノの見方なのか、あるいはその両方か。

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いずれにせよ、この写真集を眺めているとある気づきに達する。「もし『今』がつまらないなら、それは『君自身』がつまらないんだよ。」

「美しさや奇跡はあなたのすぐ側にある。」あとはそれに「気づけるか、気づけないか」だ。そう写真集は教えてくれる。つまり、この写真集は、この世界における幸福のあり方を示唆している。

「君は自分の半径5m内に潜む奇跡のような瞬間を見つける事はできるかい?」とでもいうように。以後、私と幸福の関係も変った。写真は、人の生き方を変える力を持っている。

「さぁ、ここから先は、ただカメラを持って家を出ればいい。」

最後にそう背中を押してくれる写真集。

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