長田弘 / 世界は美しいと (2009)

長田弘 / 世界は美しいと (2009)

長田弘「世界は美しいと」 (2009)

book information / 本の基本情報

著 者 :長田弘 (おさだひろし)
タイトル:世界は美しいと
出版社 :みすず書房
出版日 :2009/04/25

review / レビュー

年初に読んだ「深呼吸の必要」を読んで、長田弘がすっかり好きになってしまった。他の作品も読みたくなったので購入する。この詩集も素晴らしかった。まるで日常の風景を美しくしてくれる魔法使いだ。読後に、こうなったら長田弘全詩集を買ってしまおうか、そんなことを考えてしまっている。

「表現じゃない。ことばは認識なんだ。(中略)感情じゃない。ことばは態度なんだ。」
from 『こういう人がいた』

これがそのまま長田弘の詩の中枢を占めている概念なのだろうか。
「ことば」と、こういう向き合い方をしているのだろうか。

「詩人の仕事とは、何だろう?無残なことばをつつしむ仕事、沈黙を、ことばでゆびさす仕事だ。」

この言葉から感じたのは、詩人としての生きることの、恐ろしさだ。なんて凄まじい作業なのだろう。

コアな部分を取り出してしまったが、この詩集は途方もなく美しく、素晴らしい示唆に富んでいて、大切な友人にプレゼントしたくなる本、というのが私の感想だ。

作中には、色んな人物が出てきて大変興味深い。作中の音楽、絵、写真を知ることで、より味わい深いものになるだろう。(実際に音楽を聴きたい方向けにリンクを貼っておく。)
1.Olivier Messiaen / オリヴィエ・メシアン 「Catalogue d’oiseaux (“Catalogue of birds”) / 鳥のカタログ」 From 大いなる小さきもの

2.Bohuslav Martinů / ボフスラフ・マルティヌー 「Double Concerto / ダブル コンチェルト」 From 大いなる小さきもの

3.Caspar David Friedrich / カスパー・ダーヴィド・フリードリヒ 「Woman at a Window / 窓辺の女」 (1822)
From フリードリヒの一枚の絵

その他には出てくる人は以下である。
Gustave Courbet / ギュスターヴ・クールベ
Georgia O’Keeffe / ジョージア・オキーフ
Ansel Adams / アンセル・アダムス
Frank Lloyd Wright / フランク・ロイド・ライト
Franz Kafka / フランツ・カフカ
Wolfgang Mozart / ウォルフガング・モーツァルト
吉田秀和
Baruch De Spinoza / バールーフ・デ・スピノザ
Fyodor Dostoevsky / フョードル・ドストエフスキー
Wystan Hugh Auden / ウィスタン・ヒュー・オーデン
Glenn Gould / グレン・グールド

画家、写真家、作家、作曲家、ピアニスト、哲学者、詩人、建築家、評論家など様々だ。またあとがきではRoland Barthes (ロラン・バルト)の言葉を引き、本作品の立ち位置を明言している。ここではあえて語らない。気になった人には是非読んで欲しい。

・好きだった詩
窓のある物語
なくてはならないもの
世界は美しいと
人生の午後のある日
大いなる、小さなものについて
ゆっくりと老いてゆく
こういう人がいた
大丈夫、とスピノザは言う
人の一日に必要なもの
雪の季節が近づくと
グレン・グールドの9分32秒

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