今月のポストカード 2019年3月 星野道夫

今月のポストカード 2019年3月 星野道夫

目次

1.このポストカードについて
2.星野道夫とわたし

1.このポストカードについて

作 家:星野道夫
作 品:不明

2016年8月31日に銀座松屋で開催された星野道夫没後20周年展にて購入。

2.星野道夫とわたし

確実に私の人生を形作るひとり。10代の頃から彼の写真というよりは文章に、そしてそこから滲み出る優しさ、厳しさ、そして悠久の時を捉えた視線に心を奪われていた。このポストカードを購入した星野道夫没後20周年展では250ほど作品を見ることができて、すでに既知な作品ばかりであったものの、展覧会という形で、テーマごとや、時系列で一覧するとまた見え方が変わることや、彼が実際にアラスカの村へホームステイをお願いした手紙などが展示されていてえらく感動した。

相変わらず、彼の作品に触れるたびに心を打たれる自分がいて、彼のいない今、私の中に残る彼の感性の確かさを噛みしめる。ファインダーを通して垣間見える彼の眼差しの優しさは、文字通り永遠に消えないのだ。その展覧会では、写真に合わせて星野道夫の言葉が添えられていて、そのメモが残っているので、ここに書き写してみる。

つまり私の場合、写真がずっとあとで、まず自然があった。

この点がいわゆる写真家とは、根っこから違うところであり、星野道夫その人を表していると言っていい。

目に見えるものに価値を置く社会と、目に見えないものに価値を置く社会の違いを思った。そしてたまらなく後者の思想に惹かれるのだった。

この感性が星野道夫を星野道夫たらしめる源泉の1つだろう。そしてアンビバレント思えるであろうことは、彼は目に見る価値に重きをおく、写真を生業にしていたということだが、私の中では十分に成立していて、彼が写真に収めていたのは被写体を通した「悠久の時」であったはずだから。

展覧会の最後のコーナーも忘れられない。私はそこで初めて、「動き、喋る星野道夫」を見たのだ。それはNHKの番組で使用されたというドキュメンタリーのために撮影された動画で、テレビでは使われなかったという映像を流していたらしい。彼の声、動く表情を見て、写真や文章を通してしか知らない彼の姿がより身近なものになった。

最後に、星野道夫の筆跡と思われる字で、出口に次のような言葉が直接壁に書かれていた。

短い一生で

心惹かれることに多くは出合わない

もし見つけたら

大切に

大切に

この言葉に「今の仕事に全力を尽くそう。」ふとそう思うとともに、彼の作品に出会うたびに、もし彼が生きていたら、おそらく撮られていたであろう写真、書かれていたであろう文章、そして変わらなかったであろうその生き方に思いを馳せずにはいられない。