Taylor deupree ‘Fallen’ (2018)

アルバム情報

Artist / Taylor deupree
Title / Fallen
Release / 2018/02/25
Label / SPEKK

音源

レビュー

ピアノを中心に作られた美しいアルバム。大変ゆっくりと、揺れるようにして、丁寧に弾かれたピアノ。透き通った湖に水滴が落ちるがごとくピアノの音が一音、また一音と紡がれて行く。そうして穏やかに水面に波紋が広がっていくかのような音像。けれどもこの音像から感じるアルバム全体から立ち昇るニュアンスは、退廃の香り。ゆっくりと、だが確かに、そして美しく朽ちて行く気配を感じさせる。この静謐な空気はそんな気分を孕んでいる。

何より素晴らしいのは、叙情的すぎない匙加減だ。最近の個人的な嗜好として、分かり易さの際立った泣きのメロディには食傷気味。理論で導き出せるシステムとしてのメロディと言ったら良いだろうか。そうしたものには最早、過剰に意図を感じ取ってしまい、勝手に幻滅してしまうのだ。

そうした中で、このアルバムに流れるメロディは、キレイではないが、非常に美しい。ピアノを用いながら、メロディの抽象度をあげたこのバランス感覚は絶妙で、日和った意味ではない聴きやすさがあるのも、音楽的感度の高さによるものだろう。

まるでこのアルバムは音楽が永遠に近づこうとするプロセスそのものだ。より高次な作曲活動を経て辿り着いたTaylor deupreeの最高傑作だと私は思う。

なおこのアルバムはSPEKKというレーベルからのリリースで、アルバムのジャケットはTaylor deupreeによって撮影された写真が使用されている。

トラックリスト

1.The Lost See 06:04
2. Paper Dawn 05:43
3. Unearth 05:57
4. Small Collisions 05:49
5. The Ephemerality of Chalk 07:16
6. Sill 05:25
7. For These in Winter 03:26
8. Duskt 07:18