伊場仙の扇子

20191009 伊場仙 扇子 03
伊場仙 http://www.ibasen.co.jp
妻が誕生日だからと言って、プレゼントしてくれた扇子。もらったのは、もう何年も前のことになるが、今年が一番活躍している。

職場で仰いでいるといろんな人に声をかけられる。珍しいからだろうか。でも使い捨ての団扇を使うよりどこか豊かな気持ちになれるのはどうしてだろう。プラスチックではなく木という素材がそんな気にさせるのかもしれない。その存在感含めて心地よい。

20191009 伊場仙 扇子 02

ひらひらと仰ぐ私にある人がこう言った。

「扇子の風って柔らかくて気持ちいいですよね。」

言われて気づいた。存在感だけでなく風も心地よい。どうやら妻にとてもいいプレゼントをもらったようだ。時間が経って、その価値に気づいた。

斉藤 倫 , 植田 真 「えのないえほん」(講談社, 2018年)

えのないえほん 02

胸が締め付けられるような感情の波が押し寄せた本は久しぶりだ。

ある1つのつぶやきで絵本は物語を終えるのだが、
そのつぶやきは、最も切実な、自分の存在を取り扱うつぶやき、であった。
ここで語られる醜さ、そして美しさは一体何を見つめたものなのか。
わたしたち普段語る醜さ、そして美しさは一体何を見つめたものなのか。

もし眼が見えないとしたら、私は美しさを捉えることをできるだろうか。
そもそも美しさとは眼に見えるのか。

そうではなかった。わたしは、眼に見えるものに、知らず知らずのうちに囚われすていたことに気づかされる。
本質的であろうとしていた私は浅はかで上っ面な人間であったことに気付かされた。

この絵本は「醜さ」を語ることで、大切なことを描き出した。
そう、この本は、美しさについて一切語らずに、「美しさの持つ罠」について雄弁に語っている。

それがゆえに、娘にこの本を読むときに、涙が溢れそうになり、
毎回最終頁を声に出して読むことがむつかしい。