斉藤 倫 , 植田 真 「えのないえほん」(講談社, 2018年)

えのないえほん 02

胸が締め付けられるような感情の波が押し寄せた本は久しぶりだ。

ある1つのつぶやきで絵本は物語を終えるのだが、
そのつぶやきは、最も切実な、自分の存在を取り扱うつぶやき、であった。
ここで語られる醜さ、そして美しさは一体何を見つめたものなのか。
わたしたち普段語る醜さ、そして美しさは一体何を見つめたものなのか。

もし眼が見えないとしたら、私は美しさを捉えることをできるだろうか。
そもそも美しさとは眼に見えるのか。

そうではなかった。わたしは、眼に見えるものに、知らず知らずのうちに囚われすていたことに気づかされる。
本質的であろうとしていた私は浅はかで上っ面な人間であったことに気付かされた。

この絵本は「醜さ」を語ることで、大切なことを描き出した。
そう、この本は、美しさについて一切語らずに、「美しさの持つ罠」について雄弁に語っている。

それがゆえに、娘にこの本を読むときに、涙が溢れそうになり、
毎回最終頁を声に出して読むことがむつかしい。

日本・オーストリア外交樹立150周年記念 「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」 国立新美術館

隙間時間に。実はちょっと行きたいと思っていたのだ。実際に行けることになって嬉しかった。私が普段行くようなある特定のアーティストの展覧会というよりは、ウィーンというくくりでプレゼンテーションした展覧会であり、その分広く浅くなのだが、それが逆に新鮮で包括的にクリムトやシーレを眺めることができた。こういう区切り方も面白い、という学びを得た。

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次の作品群が心に響いた。

1.Klemens von Metternich / クレメンス・フォン・メッテルニヒ (1773 – 1859)
アタッシュケースの実物。まさかとは思ったが、レプリカではなく本物で驚いた。

2.「Schubertiade / シューベルティアーデ」という言葉を発見。「音楽を奏で、ときに野山に出かける集まり」の意。ディケンジアンやカフカレスク的な人名の形容詞化した言葉だ。

3.Ferdinand Georg Waldmüller / フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミューラー (1793 – 1865)
緻密な筆致から光を使う印象派の先駆けとなる画家。

4.Hans Makart / ハンス・マカルト (1840 – 1884)
「Dora Fournier-Gabillon / ドーラ・フルニエ=ガビロン」 (1879-80 年頃 ウィーン・ミュージアム蔵) が素晴らしい。

音楽ではシューベルトの他にJohann Strauss / ヨハン・シュトラウス、建築の分野ではOtto Wagner / オットー・ヴァーグナーが取り上げられていた。

5.Gustav Klimt / グスタフ・クリムト(1862 – 1918)
「Love / 愛」(1895) 接吻の初期バージョンといわれる作品らしい。

6.Maximilian Kurzweil / マクシミリアン・クルツヴァイル (1867 – 1916)
「 Lady in Yellow (‘Dame in Gelb’), / 黄色いドレスの女性」(1899)

7.Maximilian Lenz / マクシミリアン・レンツ (1860 – 1948)
「Sirk-Ecke / シルク=エッケ」(1900)
これは図録でも見たが、全くと言っていいほど、本物の絵の持つ独特のニュアンスを表現しきれていない。本物の価値を感じた瞬間だ。

8.Carl Moll / カール・モル (1861 – 1945)
「My Living Room (The painter’s wife, Anna Moll, in the couple’s apartment in Vienna) / 書き物机に向かう画家の妻アンナ・モル」(1903)
「Mother and Child at the table (At Breakfast) / 朝食をとる母と子」(1903)

8.Egon Schiele / エゴン・シーレ (1890 – 1918)
「Self portrait / 自画像」(1920)
「Schiele’s Room in Neulengbach / ノイレングバッハの画家の部屋」(1911)
「Gustav Klimt at his Deathbed / 死の床につくグスタフ・クリムト」(1918)

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吉祥寺巡り 02 book obscura / ブックオブスキュラ

年1回、家族で吉祥寺へ行くことが、私たちにとって数少ない家族行事のひとつになっている。どうしても行きたい本屋さんがあったので、訪れたのがここbook obscura / ブックオブスキュラ。静観な住宅街に位置する写真集専門の古本屋さん。

妻はここで、コーヒーを飲み、店内にある写真集を眺め、娘はその静けさに酔いしれたのか、ぐっすりと眠っている。私はというと、存分に写真集を眺めることができ、幸福な時間を過ごした。とても悩ましかったのだが、Tilmans / ティルマンスの珍しい写真集を見つけ、一冊購入した。

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どなたかの作品が展示されていた。やってみたいなぁ、と思う。

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ハンドドリップで淹れてくれるコーヒー、窓際のテーブルで写真集を眺めながら飲める。

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YUKIMASA IDA / 井田幸昌 「PORTRAITS」,銀座SIX

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初めて観たのは彼の豚の絵だった。その生をありありと描き出したような絵がやたらと、衝撃的で、一瞬で大好きな画家の1人になった。いつかこの人の絵が欲しい。心からそう思った。
たまたま用事があって顔を出した銀座でGINZA SIXの蔦屋へ立ち寄る。そこでなんと彼の個展が開催されることを知り狂喜した。日を改めて同じ場所を訪れる。
この同じ時代に生きる芸術家の絵を、生で観ることが出来て、本当に良かった。「いつか彼の絵を」この願いを持ち続けて明日も頑張ろうと思う。

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Sony World Photography Awards 2019 世界の写真が交差するところ。

20190621-L1009678たまたま通りかかって立ち寄った。駅の中のスペースを活用してこういう催しがあることは、とてもいいことだと思う。肩ひじ張った文化活動というよりは、気軽に立ち寄るという意味で、こういう作品展に触れるハードルが下がるからた。

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今の時代の写真家たちはこうして世界を見つめているのだなぁなんて思いながら、10分程度作品を眺めたり、写真を撮ったり。仕事の合間に訪れたかけがえのない時間となった。

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石井靖久 細胞の海、神経の森 銀座ライカストア

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たまたまライカの銀座店を通りすがった際に、2Fで石井さんの展覧会をやっていることを知り、立ち寄ってみる。大きく捉えながら、緻密な描写をしているような写真。美しい。

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とても美しいモノクロ。

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最後に何となく一枚、植物を撮ってみた。